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中部地方の駅弁

 

東海道本線:三島駅・沼津駅 「御殿場線70周年 記念御弁当」(桃中軒) ¥710

画像提供:Deguchiさん

 

 

    

 

2004年の御殿場線開通70周年を記念して販売された駅弁。現在は販売を終了しているものと思われる。中身は普通の幕の内というところ。国府津を起点とする御殿場線はご存知の通り、「東海道本線」として開通。貫通までに16年を要した「丹那トンネル」がない頃は、勾配のきつい御殿場を迂回し、国府津で後部に補機のSLを後部に連結し、沼津で開放していた。

そのため沼津は文字通り、「鉄道の要衝」としてその昔は大変に賑わったそうだが、1964年に開通した東海道新幹線がこの沼津を素通りしたことから、一気に目立たない駅となってしまったようだ。

駅弁屋は三島へ進出したようだが、新幹線の三島駅は、開業から少し遅れての設置。沼津駅自体は今でもそれなりの活気があり、東海道本線の優等列車こそ寝台特急と特急<東海>しかないものの、沼津始発の<あさぎり>は小田急と手を組んで新宿へダイレクトに乗り入れる。バブルの勢いにも乗って話題を呼んだものの、距離と所要時間の割に料金がかさむせいか、最近は精彩を欠き気味で、沼津駅前の百貨店などもシャッターを下ろすなど、全般的に苦戦が続いているようだ。 

 

 

 

 


東海道本線:富士駅 東海道新幹線:新富士駅 「うなぎわさび飯」(富陽軒) ¥1,300

 

 

 

     

 

富士駅で駅弁の販売が始まったのは大正12年の10月。現在の会社名になったのは昭和28年。昭和63年に新幹線の単独駅として新富士駅が開業し、新富士駅にも進出した。当然ではあるが、新幹線がドッカリ乗っかる東海道本線の駅と言う事もあり、元来の販売駅である富士駅にやってくる優等列車は、寝台特急と甲府からの<ふじかわ>、そして東京行の<東海>だけ。

そんなわけで富士駅での販売は商品を限っており、これを無予約で買えるのは新富士だけのようだ。ここでは便宜上両駅を販売駅とするが、これらに限らず、富士駅での購入は予約が無難。

その「富陽軒」が販売する駅弁のうち、比較的高い商品がこの「うなぎわさび飯」。わさびで炊いた炊き込み御飯の上に錦糸卵、ゴボウと青菜、そして富士川で獲れたウナギを載せたシロモノ。容器を見ればわかるが加熱容器を使用するものの、気温が低かったせいか暖まりきらず、タレが冷たく思ったほどの暖かさを味わえなかったのが残念。但し、ウナギは弾力と歯ごたえがよく、非常によいシロモノを使用していることが1口食べただけでわかるほど絶品。

 

 

 

 


東海道本線:富士駅 東海道新幹線:新富士駅 「金華豚弁当」(富陽軒) ¥880(¥1,000という情報もあり)

 

 

 

     

 

「金華豚」とは、中国浙江省(省都は「杭州」の模様)原産の豚で、舌ざわりが良く、奥みのないジューシーな霜降り肉は「豚肉の王様」と言われるシロモノと言うことのようだ。BSE騒動の前はあまり豚の駅弁が多くなかったせいか、富士駅の名物に成長した駅弁。

その浙江省と静岡県が友好提携を結んだことを記念して製作したのがこの「金華豚弁当」。豚と錦糸卵、メンマの下は、日本の食材と言うことか、炊き込みおこわ。さすがに豚のうまさは絶品だが、おこわが正解かどうかは賛否両論があろう。しかし、ボリュームの割に元々高い食材を使っていないせいか、ほどほどの価格なのは嬉しく、富士駅から<ふじかわ>に乗る時は手を出したい一品。

 

新富士駅には他の駅ではあまり見られない大きな団体待合室が設けられていた。これはある宗教団体が富士宮の寺院へ集団で参拝していたためで、JR化の直後はバブルの勢いもあいまって、在来線の専用臨時列車共々大賑わいだったらしい。しかしながら寺院と宗教団体のケンカで中止され、当時走っていた急行<東海>が減車の憂き目にあったばかりか、オレンジカードだけでも1駅で8ケタもの減収になったとか。

 

 


東海道本線:浜松駅 「ひつまぶし」(自笑亭) ¥1,200

 

 

       

 

 

 

参考:「ひつまぶし」(旧製品)

    

 

浜名湖の名産は「うなぎ」と言ってよいわけだが、それをふんだんに取り入れた弁当を販売しているのが浜松駅である。「うなぎ飯」なども定評があるのだが、意地の悪いことに新幹線<こだま>は、浜松などの大駅に限ってすぐに発車することが多く、その入手チャンスになかなか恵まれないのがツライところ。

「ひつまぶし」(櫃まぶし)は、基本的には「うなぎめし」ではあるのだが、食べ方が異なり、「うな丼」と違って、おひつの段階で短冊状のうなぎを入れており、それを空の茶碗に入れて食べるようだ。最初はそのまま食べて、後にのりとかわさびを、そしてお茶漬けで食べていくらしい。名古屋の名物料理で、名古屋の料理店の登録商標である。

大阪などの店でメニューとして見る「ひつまぶし」は、見たっからにボリュームもありそうでおいしそうだが、その分値段も¥1,800くらいは軽くする。それを考えると、ボリュームはともかく、手軽に駅弁として食すことが出来るこのシロモノは貴重な存在と言えるだろう。2つのおひつは最初に手前のたまごの乗っている方をそのまま、後で附属のわさびなどをのせ、お茶をかけて食べる・・というシステムとしているためで、そのフンイキを手軽に味わえる工夫がなされている。

ただ、食べ方を知らずにいきなり食べると・・と言う感じで、「ひつまぶし」を一度市中の店とかで食べてからのほうがよいかもしれない。また2つの味のため1つ1つのおひつのご飯の量は少なく、言って見るなら「量より質」で勝負というところ。家庭で食べるのならお茶とレンジで温めることを忘れないほうがよい。

 

浜松の「ひつまぶし」は、先頃リニューアルが行なわれ、現在では上の商品が販売されている。おひつは分割はされておらず、1口食べて2つめの食べ方をすることになる。新製品は食べやすくなり、タレをかけて添付のお茶を振りまいて、少しお湯をかけて食べると、ようやく「ひつまぶし」らしい味を味わえるようになる。

お湯をかけることを前提としているせいか、ウナギがやや固め。手は抜いていない製品だが、「駅弁」は基本的には「冷めていてもおいしい」商品であるべきと思うだけに、「電子レンジにかけても・・」が前提の商品と言うのが、やや評価の落としどころ。しかし、やはり浜松、出すウナギがええ加減なシロモノでないことだけは断言しておく。

 

 

 

 


東海道本線:浜松駅・掛川駅 「白ワイン仕込み 京風白焼き うなぎ弁当」(自笑亭) ¥1,200

 

 

     

 

上の「ひつまぶし」と並んで、食べ方に工夫を凝らした作品の1つ。「ねりわさび」ではなく、本わさびが付いていて、すりおろすための小さな板が添えつけられており、すりおろしたわさびをうなぎに乗せてタレをかけて食べる。

「うなぎの弁当と言ったらカバ焼きっしょ」と言う方もいるかもしれないが、実際に食べ比べてみて、下よりもうまいのではないか?と感じるほど秀逸の一品。さすがにうなぎの値が張ることからお世辞にも安いとはいえないが、小さ目の箱ながらボリュームはタップリある。

 

 


東海道本線:浜松駅・掛川駅 「ふんわり 赤ワイン仕込み蒲焼き うなぎ弁当」(自笑亭) ¥1,200

 

 

    

 

浜松駅の駅弁屋、「自笑亭」の創業は、江戸時代の1854年。初代山本六兵衛さんから「山六」という屋号で料亭を開き、殿様の料理も作っていたようだ。その殿様から「お前は周囲の人をなごませる自然な笑顔を絶やしたことがない。明日からはこれを使え」と、『自笑亭』という屋号を貰ったらしい。駅弁の販売が始まったのは、1881年(明治21)、東海道本線の静岡−浜松間が開通した時からで、おにぎりとたくあんみたいなものだったらしい。

浜名湖の名産、うなぎを使用した駅弁の販売を始めたのは1916年(大正5)年という息の長さだが、現在はこの2商品に代替わりした模様。しかしその使用するうなぎの品質にはそれなりのこだわりがあるのは言うまでもない。12月から4月にかけて浜名湖で採れたうなぎの稚魚をいけすに入れ、1年から3年かけて毎日エサを入れて大きくする。よく川で採れたうなぎをすぐに・・という話を聞くが、駅弁ならではの衛生管理と言うか、出荷する時はエサをやらずに井戸水の中へ5日間置き、ドロを完全に吐かせてからとのことで、安心して食べられる。

それくらいうなぎへのこだわりをもって出すのだから、今まで他駅で食べた「うなぎ飯」などのように、「ゴムぞうりのようなうなぎだ」などということは断じてなく、極厚ながら柔らかく、風味もバッチリ。これなら¥1,200して何もおかしくない。

 

こちらはまさに「本格的なカバ焼き」で見事な直球勝負。商品が代替わりしているので少し違うとは思うが、かつての商品での味付けでは、「浜松が東京と大阪の真ん中」(注・東海道新幹線の運転士は2人乗務で、浜名湖で運転を代わり、1人は自由席などで車掌業務を行なう)ということもあり、割き方は背開きで関東、タレを付けてカバ焼きにするところは関西・・というこだわりがあったようだが、「白ワイン」が出た今はどうなっているのかよくわからない。しかしどちらの味付けにしても、うなぎを使用した駅弁においては、他の追随を許さない2品。

販売は浜松駅のほか、東海道新幹線のホームに限られるが、掛川駅でも購入できる。かつて新幹線の車内で販売されていた「うなぎごはん」の味がまずいと、自笑亭に苦情電話が鳴り響いたこともあるとか。それくらい「浜松=うなぎ」というイメージがあるため、ええ加減なうなぎの駅弁を出そうものなら、駅弁と言うよりも浜松のイメージを損ねるくらいの事態にもなる。そういう点からも、手を抜かない駅弁作りに評価が高いようだ。

 

 


東海道本線:豊橋駅 「稲荷寿し」(壺屋弁当部) ¥450

 

 

     

豊橋駅の代表駅弁、また「稲荷寿し」は壺屋の登録商標。この「稲荷」というのが、「日本三大稲荷」と称される、豊川稲荷のことを指しているのは言うまでもない。20分間熱湯で油ヌキした油揚げを、砂糖としょうゆに40分漬け込んで作るらしい。

味もよし、色もよし、それでもってシンプルで¥450。ただ、伝統がありそうな1品の割に、着色料などの使用がかなり表記されているのはちと感心しない。私が駅弁において感心しないのはなぜかというと、例えば21世紀になって・・とかいうような駅弁ならまだしも、伝統ある駅弁が販売された当時、そのようなシロモノがあったのか?と感じるため。もちろん販売環境が変わったとか、時代が進むにつれて衛生管理があまりにも厳しくなった・・という側面もあるのだろうが、「駅弁こそ安心して食べられる」ものであってほしい。

なお、「駅弁」マークはないが、日本鉄道構内営業中央会会員。

 

 

 


東海道本線:豊橋駅 「助六寿司」(壺屋弁当部) ¥470

画像提供:Deguchiさん

 

 

    

 

上の「稲荷寿し」に巻き寿司をカップリングした・・と言えるが、若干きつねの色合いが変わっているような感じ。2つの味が楽しめることに加えて掛け紙もきれい、価格も安いので、コレクターにはたまらない一品と言えよう。

 

 

 

   


東海道本線:名古屋駅 「抹茶ひつまぶし 日本一弁当」(だるま 名古屋支社) ¥1,100

 

 

     

 

名古屋駅の「ひつまぶし」。浜松の項でも記したが、「ひつまぶし」は名古屋の名物なので、こちらをクローズアップすべきかも知れない。この弁当が「日本一」を名乗るのは、ウナギの生産日本一が三河、抹茶の生産日本一が西尾、そして大根は日本で一番長い守口大根を使っているためだとか。こちらは特に気取らずわさびをかけてそのまま頂いたが、それでも充分味を楽しむことができる上、それでいて食べやすい一品。

但し、下の「とりめし」と比べると、やはり値は張る。名古屋コーチンも、大館の比内地鶏や鹿児島の鶏と同じく、日本でも3本の指に入るような高級な食材のようではあるが・・・。

 

 

 

 


東海道本線:名古屋駅 「名古屋コーチンの炊き込みごはん とりめし」(だるま 名古屋支社) ¥750

※写真は「空弁」仕様

 

    

 

名古屋駅は意外にも全国でも有数の「駅弁激戦区」らしく、3社くらいは常に競い合っており、しかも商品の入れ替わりも激しいようだ。そんな中で「地産地消」の代表格ともいえる駅弁だからこそ、ここ最近人気を不動にしているのがこの「名古屋コーチン」とりめし。駅弁にしては珍しい趣向として、寿司系統の駅弁を除いては珍しいタテ長の容器に、竹細工の容器が購入欲をそそる。内容も一目瞭然、どこで食べても箸が進む一品である。

ちなみに、この弁当は名古屋空港で入手。売店は6時30分開店と早起きなので、「だるま」が誇る「ひつまぶし」など、名物駅弁を賞味することができる。最近全国の空港で「空弁」(そらべん)と称される「空港弁当」がブームとなっている。社会のニーズの変化に加えて、最近国内線では軽食・茶菓のサービスがほとんどなくなったため、発生してきた需要とも言える。秋田空港では大館の「鶏めし」が参入してものすごい売れ行きを誇っているようだが、駅弁業者が参入する場合でも空弁は様式が異なる場合があるようだ。

と言うのも、飛行機の機内はにおいが充満しやすく、また座席のテーブルが列車ほどは大きくないため、そのサイズなどを変えているケースがあるようではある。この「だるま」のケースは、「駅弁そのもの」という自信はないが、ほぼそれに違いないという判断と、メニューに関してはまったく同じもの、という判断から、「名古屋駅で買おうと思ったが、時間がなくてやむを得ず空港で購入した」ということにして、「駅弁」で紹介させていただいた。「空港オリジナル」としてもここから外すことはしないが、もし「駅で売っているのとはパッケージも全然違う」のであれば、手は出していまい。

 

 

 

 


高山本線:高山駅 「飛騨牛 しぐれ寿司」(金亀館) ¥1,050

 

 

     

 

高山駅の名物として名が高いとされる駅弁。「される」と微妙な表現を使うのは、私自身が高山へ行ったことがないため。酢飯の上にローストビーフと牛皿風の肉、錦糸玉子がメイン。その肉の上にわさびとしょうゆをかけて食べる。これだけの材料を使うのだから価格もまずまずだが、やや肉の風味に難点を感じるのは、ご飯が酢飯だからだろうか。

「金亀館」は以前から大会の実演を手がけてきたようだが、岡山へは2005年が初登場。その背景には、高山本線の苦境があると思われる。2004年の台風23号による高山本線の被害はすさまじく、飛騨古川〜猪谷間は復旧のメドが立たず、1年以上を要するような状態。特急<ひだ>は当然ながら飛騨古川折り返しで、富山〜名古屋の通し利用もそれなりにある<ひだ>、「金亀館」にとっても手痛い打撃であろう。

そういった苦境の中、「出来るだけ攻めの姿勢」が、あちこちへの実演への顔出しにつながったと思われる。一生懸命な姿に「がんばれ」という気持ちで、手を出してみたい一品。

 

 

 

 


高山本線:高山駅 「飛騨高山 牛しぐれ弁当」(金亀館) ¥1,000

 

 

     

 

上の寿司から一転、こちらは普通のご飯。但し、それでは調理がうまく行かないのか、はたまた冬の高山が相当な寒さになるからか、こちらは加熱式としたのが特徴。中身は普通の白いご飯にベタベタと牛肉と錦糸卵を載せた、シンプルな内容。しかしながら食べた時は加熱の度合いもちょうどよく、肉の風味もよく、そのおいしさと熱さを堪能することが出来た。私的には上の寿司よりも圧倒的にオススメの一品。

 

 

 

 


関西本線・紀勢本線:亀山駅(前) 「しぐれ茶漬」(いとう弁当店) ¥850 基本的には要予約

※お茶は別売り¥100

 

 

    

 

 

人口41,000人の三重県亀山市の拠点、亀山駅は関西本線の拠点の1つ。和歌山市までの384.2キロある紀勢本線の起点ともなる。このため、紀勢本線は亀山から新宮、新宮から和歌山、天王寺へ向かう列車が「下り」となる。亀山駅はJR東海と西日本の境界駅でもあり、紀勢本線と亀山以東が東海、亀山以西が西日本の担当で、駅は在来線の境界駅では唯一、JR東海の担当となるが、広い構内では両社の気動車が休む。

かつては関西本線自体が賑わい、京都から草津線、亀山を経由して伊勢へ向かう急行があり、亀山駅も賑わっていたようだが、前者が名阪国道や新幹線、後者共々近鉄の影響で没落し、名古屋から南紀方面へ向かう列車も伊勢線(現・伊勢鉄道)の開通で来なくなり、現在亀山駅に入る優等列車は、名古屋−奈良間を結ぶ急行<かすが>1往復のみ。しかし、西日本の区間にキハ120を入れるような有様、しかも月に1回5時間運休まで取り入れる区間に1往復とは言え優等列車が健在なところが、その路線の重みを伝える。

そんな状態からか、亀山駅の名物駅弁「しぐれ茶漬」も、ほそぼそと販売するほかなくなってしまったのもムリはなかろう。現在では公式な駅弁ではなくなってしまったが、駅正面の「いとう弁当店」にて販売は継続されている。この店は、一昔前の「食料品店」「スーパー」と、コンビニを足して3で割ったような古びた店舗が面白く、店の奥には喫茶コーナーもある。

「しぐれ茶漬」は常備はされていないが、営業時間中(8:00〜21:30)ならその場で作ってもらえ(但し夕方以降は釜のご飯がなくなったらおしまいとのこと)、20分程度の乗り換え時間があれば充分。

プラスチック製ながら、風格のあるおひつに、ご飯と桑名産のあさりはまぐり、のりがかかった内容。私はややはまぐりが苦手なので正当な評価はできないが、風味が大変香ばしくて、はまぐりが好きな人にはたまらない1品。そしてこの商品の命が「暖かさ」で、その場で作ってもらえるというメリットを活かして、できるだけ早く食べるとうまさが倍増する。お茶は付いていないが、写真の汽車土瓶形のお茶が¥100であり、ちゃんと店員さんも確認してくれるので入手漏れもない。結構においがきついので、お茶は不可欠。

亀山の名物としてすっかり定着し、テレビで取り上げられることも多く、店内にも「幻の駅弁」として、テレビに取り上げられたことを明記する表示があったが、店員さんのコメントによると、「テレビで取り上げられると売れるが、すぐに忘れられてしまう」と嘆き節のようだ。それでも味のほうはバッチリなので、ぜひ手を出したい駅弁。

 

 


紀勢本線:松阪駅 「モー太郎弁当」(新竹商店) ¥1,260

 

       

 

浜松に控える観光地、浜名湖の名産が「うなぎ」ならば、三重県松阪市の名産はもちろん「松阪牛」である。その「松阪牛」を使用した様々な駅弁を一手に引き受けるのが、松阪駅の駅弁屋、「新竹商店」である。「モー太郎弁当」は2002年の新製品だが、百貨店などでバカ売れし、先日地元で行なわれた駅弁大会でも1度では手に入らなかったほどの売れ行きであった。

味に定評があるのは当然として、まず容器が面白い。掛け紙を取ると、牛をかたどった容器があらわれる。そしてそれを開けると、「ふるさと」のメロディが光に反応して鳴り出すという趣向が加えられており、口に入れる前から楽しさを味わえるのである。メロディはうまく保管すれば、2,000回位は繰り返し使用できるらしい。

中身は、白いご飯の上にすき焼き用の肉をのせたという構成で、駅弁大会などでも販売しやすいように冷めてもおいしく食べれるように工夫してあるとのことだが、家庭で食べる時は温めると恐ろしいほどのうまさを体感できる。

 

 


紀勢本線:松阪駅 「モー太郎寿司」(新竹商店) ¥900

   

 

「モー太郎弁当」よりもさらに歴史の浅いのがこちら「モー太郎寿司」。いかにも「中村紀洋」いやもとい、バファローを思い起こす強烈なデザインの「モー太郎弁当」に対して、こちらは一転してかわいらしいデザインに仕立て上げている。寿司なので中身は至ってシンプル。

私は生魚の寿司はもとより、巻き寿司もほとんど食べないのだが、中身がこれならいくらでもパクつくことができる。具は本当に牛肉のしぐれ煮だけで、まさしく「シンプル・イズ・ベスト」。オマケとして「モー太郎シール」が同封されている。

 

 


紀勢本線:松阪駅 「特撰 元祖牛肉弁当」(新竹商店) ¥1,260

 

   

 

解説することもないほど有名な弁当。この駅弁がデビューしたのは昭和34年。実は昭和34年まで紀伊半島を1周する路線がなく(昭和34年に尾鷲−熊野市間が開通して全通)、その一大事業に対して当時の担当だった天王寺鉄道管理局が、郷土色豊かな駅弁を・・という要請に応えたものらしい。

火を通しても固くならないようにとモモ肉を使用しているが、登場当時としては日本一高い駅弁だった・・という話があるほど、高級な食材を使っており、軟らかい肉が大変にうまい。

中身は意外にもこれまた「シンプル・イズ・ベスト」で、モモ肉2枚と白いご飯、つけ合わせはフライドポテトとこぶ。「モー太郎弁当」とこの「牛肉弁当」はどちらも¥1,260で、駅弁としてはやや高い部類に入るが、もちろんその価値があることは言うまでもない。

しかしながら「モー太郎弁当」は、駅弁大会などのことも・・と開発された部分があるようなのに対して、こちらは駅弁大会には不向き・・という判断があったらしく、あまり出てこなかったようで、実際に見かけることも少ないので、現地で1つしか買う余裕がなければ本場・元祖のこちらをオススメしたい。

JRになった頃でさえ伊勢市・熊野市・亀山駅などでも販売されていた三重県の駅弁も、現在はここ松阪駅のみ。すなわち三重県唯一の駅弁屋でもある(但し、亀山駅ではかつての駅弁が駅前の弁当店で販売されている)。新車を投入したにも関わらず、松阪駅に入る唯一の優等列車<南紀>は、現在モノクラス3両という不振ぶりだが、インターネットなどによる認知度ぶりはすさまじい。北海道の方は残念ながら・・だが、これらの駅弁を手軽に味わう方法があるので、詳しくはホームページのほうへどうぞ。

 

とんでもなく高い駅弁は別として、松阪の駅弁はほとんど頂いたが、やはり「いつでも手を出したい」と思わせたのは、伝統の「特撰 元祖牛肉弁当」かも知れない。カップラーメンと駅弁を一緒にしては申し訳ないのだが、いろいろなラーメンの新作が出て食べてみても、最終的にN社のヌードルに戻る・・・という心理とどこか似ているのだろうか。

もちろんカップラーメンと違って新作は新作で手の出しがいはあるし、長きに渡って定着するはずである。ただそれだけに、今年45周年を迎えた「元祖 特撰牛肉弁当」には、私も現地と通販で2度手を出してもなお、今後とも利用していきたい・・と思わせるということは、それだけ伝統の味が根付き、しっかりした商品・・ということなのではないかと思う。

 

 


紀勢本線:松阪駅 「黒毛和牛 うま〜いどん丼」(新竹商店)  

 

    

 

この商品の特徴は、発熱容器を採用して列車内でも温かい状態で食べることができ、家庭でもレンジに入れる必要がないことである。中を開けて調べたわけではないのでわからないが、一応の原理としては、運動会などで使用されるライン引きの石灰に水をかけると発熱する・・というものである。実際には、袋に水を入れており、ハコに付いているヒモを引っ張ると袋が破れ、石灰と反応する。と言っても、発熱剤を解体して調べたわけではないから、実際はどうなのだか・・。

実際に発熱剤を使うと、引っ張りきった瞬間に「ジュ〜」と勢いよく反応するので驚くほどであった。説明では8〜10分程待って・・とあるが、もう少し早くてもよさそう。箱の大きさの割に発熱剤が大きいため可食部分は上げ底気味で、それほど量は多くないのだが、焼肉丼とそぼろ丼があふれるにおいに、満足感があふれる一品と言えよう。

 

 


紀勢本線:松阪駅 「本居宣長弁当」(新竹商店) ¥950

 

 

    

 

松阪が生んだ学者、本居宣長の没後200年を記念して、2001年にできた新作。コンセプトは本居宣長の没後200年にちなんで、「ふるさと松阪」発信の一つとして、しき嶋の歌を折りこみ、創作したとのこと。

牛肉のしぐれ煮とそぼろ、錦糸玉子という、九州地方の「かしわめし」のように3色構成としているのが特徴。錦糸玉子は「朝日」を、塩漬や花麹は「山ざくら」を、煮しめで「昔の味」を表現した、とのことのようだ。ボリュームがある割に、¥950と¥1,000を切るのがよい。

 

 


紀勢本線:松阪駅 「松阪名物 牛肉しぐれ弁当」(新竹商店) ¥950

 

    

 

松阪駅の伝統の商品で、私も高校1年だった14年位前、松阪駅で初めて手を出した駅弁。「特撰 元祖牛肉弁当」にしなかったのは、あの年齢だと、この価格の差でも手を出す駅弁が変わってしまう。内容は特に気をあしらわず直球勝負で、牛肉の強烈な風味を口で味わうことができる。健在の商品ではあるが、「本居宣長弁当」がデビューしたせいかほとんど売店には出ないらしく、入手には予約を。

 

 


紀勢本線:松阪駅 「松阪名物 すき焼弁当」(新竹商店) ¥950

 

 

     

 

上の「牛肉しぐれ弁当」の肉の部分をすき焼きに変えた弁当・・と言うとぶっきらぼうな表現だが、副食とかの構成は同じ。この駅弁もやはり、「モー太郎弁当」とカブる部分があるせいか、こちらも入手には予約が無難。この2品は通信販売での扱いがないため、松阪ならではの味なのだが、改めて食べてみて感じたのは、肉もさることながらご飯の炊き方・うまさにも全く手を抜かないシロモノであった。

 

 


紀勢本線:松阪駅 「霜ふり寿司」(新竹商店) ¥840

 

 

 

「モー太郎寿司」が出来た今ではあまり注目されないようだが、いざ食べて見るとそのうまさにうならせる1品。フタを上に開ける方式のため扱いやすいのも嬉しい。できれば2人で駅弁を1つづつ買い、その傍らで2人でつまむのがちょうどよいサイズ。シンプルで松阪の駅弁ではかなり安価なのが特徴だが、比較的最近では寿司は「モー太郎寿司」がメインのようなので、入手には予約が無難なようだ。

松阪駅での駅弁販売は、1番線ホームの「あら竹」売店(4番線売店は休業中)。改札内、外の両面対応だが、売店の主のご本人が「松阪駅の売店は、とても小さなお店です〜」とおっしゃるように、首都圏の超小型キヨスクくらいの(1坪ってことはないだろうけれど・・)スペース。しかし同時に、「ドラえもんの四次元ポケットを・・」とも言わせるように、決して駅弁しか置いていないわけではなく、アメやガム、ビール、そして伊勢地方のお土産饅頭などまで取り揃えており、隣のキヨスクに頼らなければいけないのは、新聞だけと言っても過言ではない。

そのような売店スペースの上に、「あら竹」の駅弁は「添加物や保存料を一切使わない」頑固さから、駅弁の手持ちをそれほど用意していないという案内もある。そのため、確実な入手には予約が無難で、特急<南紀>においては車内販売もあるが、予約すれば近鉄特急共々、デッキ受け渡しにて全てのメニューに対応してくれるようだ(但し、停車時間が短いため、釣り銭のないように)。

 

 

  


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