
北陸地方の駅弁
がんばれ、新潟!
信越本線:新潟駅 「磐越SL弁当」(新潟三新軒) ¥1,200


新潟駅には、新津の業者など複数の業者が入り混じるが、とりあえず新潟三新軒の弁当から紹介していく。名称からして比較的最近できたと思われるのが、この「磐越SL弁当」。言うまでもなく、新潟〜会津若松を結ぶ、<SLばんえつ物語>を意識したものと思われる。デザインがかなり凝っているのが特徴で、紙製の外箱には、SLのイラストが描かれているが、お召し列車などで掲げられる国旗を「駅弁マーク」としているのが面白い。
容器は陶器製で、それこそ姫路の「一国一城」なみのこだわり。重量があり、やや食べやすさの面が軽視されている感はあるが、外箱がある分、持ち運びの面が考慮されており、「一国一城」ほどではない。
中身は鶏にホタテ、エビ、そしてニシンとカズノコの親子などを、「海苔弁当」の上に載せたもの。新潟の味をコンパクトに納めるよいシロモノと思うが、量の割に¥1,200と少し値が張るのが手痛いところ。また海苔の質感などを考えると、「輸送弁当」には向かないような気がした。
信越本線:新潟駅 「焼たらこトロ鮭弁当」(新潟三新軒) ¥950

2001年の新作らしい。一瞬2段重ねを思わせるほど深めの箱だが、やや上げ底気味で、それほど量は多くないようだ。焼き鮭とタラコをデンと載せた弁当で、風味がよく、すでに新潟でもトップクラスの人気駅弁となっているようだ。
2004年10月23日に発生した「新潟県中越地震」では、走行中の<とき>が脱線したのを始め、「日本の動脈」とも言える信越本線や上越線も運休を余儀なくされるなど、深刻な被害を被った。新潟市内は「昔の新潟地震の方が恐かった」という程度だったようだが、新幹線のストップで駅弁屋が被った被害は新津や長岡共々大きかったようだ。長岡では1社が休業中の模様。
そう言った中で、「現地で売れる駅弁はしばらくは厳しい」という気持ちから、大々的に駅弁大会に打って出たのでは・・というのを感じ取ったため、つい出品の3品とも手が出た、と言えようか。商売は苦しいと思うが、何とか地震に負けることなく、新潟と日本の駅弁の文化を受け継いで欲しいと思う。
信越本線:新潟駅 「新潟鮭はらこ弁当」(新潟三新軒) ¥920


「駅弁は日本の鉄道が織り成す文化の1つ」と公言する中で、箱に「雪椿」を描いてそれにふさわしい趣向を凝らす弁当。中身は商品名そのままに文字通り「シンプル・イズ・ベスト」の内容で、白いご飯の上にサケ、イクラの親子に錦糸卵、それに口直しだけ。こちらは上げ底と言うこともなく、小さな箱の割に量も結構ある。
私は今までイクラはよう食べなかったが、この商品と小樽の「海の輝き」で初挑戦。やはり口の中で違和感は残るが、出されたら食べない、ということはないだろう。久々に「直球勝負」の駅弁を見たような感じで、オススメの一品。上のシロモノ共々箱にそれほどお金をかけていないせいか、価格もまずまず。
信越本線:新潟駅 「新潟鮭はらこ弁当」(新潟三新軒) ¥900


販売は新潟の三新軒のようだが、新津駅の駅弁として販売している模様。九州の「かしわめし」にどこかソックリで、かしわの部分が「イクラ」に変えた丼・・という感じか。「ぶっかけ」の名に違わず、タレのかかったイクラは直接ご飯の上に載せておらず、上の別のトレーとしているのが特徴。
ところでこのシロモノ、普通の駅弁と比べて、やや違和感があるように見える方も多いかと思う。もちろん北海道のどこぞの駅弁と違って、現地の新津駅でも販売されているとは思うが、この商品は2005年の5月10日から1週間、全国の「セブン・イレブン」で販売されたシロモノなのである。そのため、調整元としての「三新軒」の明記はなく、所在地なども記されていない。
当然ながら「全国発売」するのに「駅弁大会」のように、「新潟の工場から全国に輸送・・」と言う訳にはいかず、調整そのものはそれぞれの「セブン・イレブン」の工場が担当したようだ(ちなみに自宅近くの「セブン・イレブン」で購入した時には、岡山県西部の市の工場だったようだ)。それによる「賞味期限」は、午前3時に製造したものが、翌日の午前5時)と異常なほどに長かったが、それを除けば現地の味をできるだけ再現している・・と言うことのようだ。
そりゃぁ「現地モノ」と全く同じ・・と言う訳にはいかないだろうが、だからと言って「いい加減なモノ」を作って並べても、コンビニの場合、その近くに¥400〜¥500台の弁当が並ぶのだから、¥900もする「駅弁」の出番はないだけに、それなりのこだわりを持って調整していることは間違いない。その証拠に、具の内容もさることながら、ご飯の質も、一般のコンビニ弁当とは大きく異なるように感じた。
「駅弁もついにここまで来たか・・」と思わせた販売方法で、100%感心できるわけではないが、言わば「今までやりたくてもできなかった」ことを「やるならこれしかない」という感じで打って出た・・という感じだろうか。それ以上に、やはり価格の安い「コンビニ弁当」は、言うならば「駅弁のライバル」とも言える存在で、「コンビニに潰された」駅弁屋もかなりあるかも知れないが、その「コンビニ」と、いわば「頑固者」の多い「駅弁屋」の利害が一致して手を組んだことは、「駅弁の歴史」の1ページを刻む大きな出来事だったのでは・・?と感じた。
北陸本線:富山駅 「ますのすし」(源・みなもと) ¥1,100 


富山駅の代表駅弁というよりは、「駅弁の代名詞」レベルの、超有名駅弁。富山駅はもとより北陸本線を走る特急列車の車内販売(富山まで入らない<雷鳥>でも販売している列車がある)や、東京・大阪などの百貨店などでも毎日販売している店舗がある。
駅弁大会でもよく見かける上、輸送弁当で来たならば、イの一番に売り切れる人気ぶり。江戸時代の魚屋を思い起こすたらい桶をかたどった容器には、笹の葉に包まれた鱒の押し寿司が詰められている。そのままでは食べにくいので、附属のナイフで切って、真ん中から食べるとよい模様。
「ますのすし」は賞味期限が48時間と長く、百貨店などでの販売もしやすいという事実もある。逆に、食べごろとしては、製造後20〜30時間後だそうだとか。ちなみに、もちろん「駅弁の達人」の対象商品だが、シールが箱に直接印刷されている上、百貨店バージョンにはシールがないなど、この点においては泣かせどころ。
北陸本線:富山駅 「ぶりのすし」(源・みなもと) ¥1,300


富山駅の代表駅弁が「ますのすし」なのは間違いがないが、いわゆる「ツウ」に言わせてみると、意外にもこちらの「ぶりのすし」の方に軍配を上げる人も多い。体裁もそっくりだが、色は全然違い、一瞬何の魚を使ったのかわからない色合いに戸惑うだろう。賞味期限が長いことや、「駅弁の達人」への対応は同様で、こちらは大会で購入したため、「シールなし」のハコとなっている。
ちなみに、「ますのすし」の項で「江戸時代の魚屋を思い起こすたらい桶をかたどった容器」と書いたが、これもやはり同様。しかしながら冷静に考えて見ると、これはレトロな感覚・・と言うよりも、「押し寿司をしっかり押し付けるため」なわけで、目からウロコが落ちたような気持ちであった。そのためか、留めゴムがかなり強めなのが特徴。なお、「ますのすし(一重)」よりは少々値が張るのでご注意を。
北陸本線:金沢駅 「ニ味 笹すし」(大友楼) ¥1,100 


「和菓子の菓子折り」を思い起こすようなデザインだが、中身は完全な押し寿司。サバと鱒がメインだが、具材にはシャケなども使用されているようだ。デザインとは裏腹にこの商品も賞味期限が長いようだが、「特別調整品」という表記は、車内販売と現地売りで賞味期限が異なるのかも知れない。デザインがデザインなので、おにぎり感覚でつまむこともできる。
「ますのすし」共々賞味期限が48時間あるため、早朝に大阪を発車する特急列車の車内販売においても、前日に調整した品を販売できるとのこと。車内販売は遠隔地でも購入できるチャンスではあるが、都会からの列車だと地方の駅弁は「折り返し列車」での販売が基本のため、早朝に都会を出る列車では、沿線の駅弁が搭載されていないことが多いので注意したい。
北陸本線:加賀温泉駅 「かにぼろワッパ」(高野商店) ¥800 

加賀温泉。ほとんどの特急列車が停車するだけに、「日本有数の温泉」・・と言いたいのだが、実は「加賀温泉」という名称の温泉は存在しない。石川県南部の北陸本線沿線に存在する、山中、山代、片山津、粟津の4つの温泉の総称として「加賀温泉郷」と称するもので、それらの温泉への最寄駅として、この「加賀温泉駅」が整備されたものである。ちなみに、駅からクルマでそれぞれ15,5、7、20分といった距離。
当たり前のことだが、粟津温泉ならば粟津駅、山中温泉も大聖寺駅からの方が近いかも知れない。しかしながら全ての特急列車を立て続けに各駅に停車させるわけにもいかなかったようで、1944年に「作見駅」として開業した駅を特急停車駅として整備することとなり、1970年10月1日に「加賀温泉駅」に改称。「高野商店」の方は、元々福井県今庄で旅館を経営していたのが始まりで、1896年(明治29年)に鉄道が福井まで到達したのを機に、握り飯と漬物を5銭で販売した。
1962年の北陸トンネルの開通後、工場を含めた店舗を大聖寺に移転し、新たな駅弁の販売を開始したが、駅名変更を機に、現在の加賀温泉に落ち着いた経緯があるようで、平成に入ってからは新工場も稼動させているようだ。
北陸の駅弁なのでやはりカニ・エビ・サバ・イカと言った、海の幸の駅弁が多いが、苦手な食材が多い中で何とか手を出せたのがこの「かにぼろワッパ」。見たからにうまそうなのもさることながら、¥800と安く、オマケに賞味期限がかなり長めなので、土産にも重宝するという、いろいろな面で買いやすさを備えた駅弁。反面で、これも含めて、「駅弁の達人」のシールが全商品、ハコやパッケージに直接印刷なのが、コレクターにとっては泣き所で、いらぬ部分で評価を落としてしまっているのが残念だ。しかしながら最近では通販も開始したようで、より買いやすくなったようだ。
北陸本線:福井駅 「越前かにめし」(番匠本店) ¥1,000


福井駅の代表駅弁。通信販売での取り扱いもあるようだ。鳥取駅の「かにめし」のように、カニを載せた炊き込み御飯だが、特にクセもなく、おいしく食べれる一品。その割には小さめの容器でやや値が張り、「どこにでもあるかにめし」になってしまっている面も否めないが、駅弁にしては珍しい紙袋の包装用紙も特徴の1つ。福井に来たら迷わず手を出してみたい。
北陸本線:敦賀駅 「荘兵衛さんのえちぜんますずし」(塩荘)
北陸本線:敦賀駅 「荘兵衛さんのえちぜんさばずし」(塩荘)
どちらも情報提供:吉備線721レさん


「ますのすし」は富山の名物品だが、鱒を使用した駅弁は、「北陸の玄関」とも言える敦賀駅にもある。同じコンセプトで鯖を使用したシロモノもあり、どちらもおいしそうだ。この2品は「食べきりサイズ」というシロモノで、倍の値段がするが、長さも倍になるシロモノも用意されているが、駅弁を収集する時は日に何個も食べることが多いので、このようなシロモノがあると助けられる。また、敦賀駅の駅弁は一部商品に限り、通信販売も行なっている。
敦賀駅は、文字通り「北陸の拠点」と言える駅で、小浜・舞鶴へ向かう小浜線を分けるほか、機関区があり、「日本海縦貫線」を駆け抜けるEF81型電気機関車が休む。その機関車は、<日本海><トワイトエクスプレス>はもちろん、貨物列車の機関車もねぐらにしており、運用の都合でここで機関車を交換する姿も見られる。
敦賀駅は、数年後に大変革が予定されている駅の1つでもある。敦賀市は福井県に属するものの、「嶺南」と「嶺北」を分ける「北陸トンネル」がある。同じ福井県でも、この「北陸トンネル」を抜けると、文化などがガラリと変わるらしい。そのため「嶺南地方」は関西方面との結びつきも強いらしい。
そのため、現在湖西線が永原、北陸本線が長浜で直流〜交流が切り替わるシステムの現状では、敦賀方面から京阪神への直通電車は優等列車に限られている現状があるため、「琵琶湖環状電車」構想も手伝って、これらの切り替えを敦賀で行なうようにする工事が今後行なわれていく。そのあかつきには、敦賀〜京阪神方面を結ぶ新快速電車などの運転が実現するかもしれない。それとともに、機関区などの入れ換えもあって複雑な配線をしている敦賀駅構内の配線を抜本から改めるようだ。
北陸本線:敦賀駅 「松茸釜飯」(塩荘) ¥950

かつて福山駅に「松茸釜めし」があった(現在の業者も販売)が、敦賀駅にもある。さすがに松茸のにおいが漂う・・というのには程遠いが、比較的コンパクトな割にボリュームはまずまずで、列車の中でも食べやすそう。家庭で食べるなら、電子レンジで温めて食するに限る。パッケージの処理の仕方に少し特徴がある。
北陸本線:敦賀駅 「はろうきてぃ かにめし」(塩荘) ¥1,050


敦賀駅の駅弁は言わば「正統派」のデザインが多いが、この「かにめし」は一風変わったデザイン。「駅弁マーク」は、外装のビニールに貼り付けてある。箱は非常にコンパクトで、量も少なめの割に、カニが上等なのか、それなりに値段も張る。見てのとおりシンプルな炊き込み御飯のかにめしで、食べやすくて風味もよく、キティちゃんのかまぼこもポイントだが、大人の1食にしてはやはり少なすぎ、かと言って子供にとっては味がきつすぎるかも知れない。なお、2005年1月現在、他のサイトなどでの入手報告がなく、現地での販売実態は今のところ不明。
「塩荘」が敦賀駅での駅弁の販売を開始したのは明治36年で、文字通り100周年を迎えた。先頃まで駅弁の製造を「つぬがフーズシステム株式会社」、敦賀駅での販売を「株式会社塩荘」が担当していたが、昨年から「株式会社塩荘」として一本化されているようだ。