山陰地方(米子駅と島根県)の駅弁
※京都府・兵庫県内の山陰本線と、鳥取駅の駅弁は「但馬地方と鳥取駅の駅弁」に移転しました。
山陰本線:米子駅 「米屋 吾左衛門寿し 鯖」(米吾) ¥1,774 



米子は山陰地方の鉄道の要衝。横に伸びる山陰本線をはじめ、山陽への伯備線(正確に分岐するのは伯耆大山から)、境港への境線が発着する。駅自体が大きい上に駅ウラは車庫、そして駅ビルの上階は鳥取・島根県のJRを司る米子支社が入る。そういう駅なだけに東京行ブルートレイン<出雲>から振子電車の<やくも>、山陰本線沿線の各都市を結ぶ<スーパーまつかぜ・おき>など、が絶え間なく発着する。
普通電車も、伯備線と伯耆大山〜西出雲間が電化されているため、電車での運転もあれば、鳥取方面や西出雲以西の非電化区間へ直通する列車、電車の車庫は岡山のため数に限りがあるので、「架線下ディーゼル」も多い。今では普通列車は電車・気動車問わずワンマン運転が多く、新車のキハ126・121で運転されている快速<とっとりライナー><アクアライナー>いえども例外ではない。
そういった米子駅の名物駅弁、そして全国の駅弁でも「横綱〜張出横綱クラス」の評判があるのが、この「吾左衛門寿し」。しっかり押し付けた固めの酢飯に鯖を添えつけ、昆布で巻いている。寿司だけに内容はシンプルだが、長さ18センチ、高さ4センチ、幅7センチ、重さ450グラム前後の大きな寿司は、箱に書いている通り「1人前」などと言うことはない。
鯖はもちろん、日本屈指の漁港、境港で水揚げされるものが使用され、昆布は北海道の日高産、ご飯は鳥取産の「やまひかり」で、これまた素材も厳選されている。「米屋 吾左衛門寿し」の始まりは江戸時代。米子の廻船問屋、米屋吾左衛門が、懸命に働く舟子のために、日本海の鯖を酢飯にのせ、地元のワカメで巻いて竹の皮に包んだのが始まり、とされる。現在ではそのワカメが昆布に代わったということ。
食べ方であるが、さすがにかぶりついたりすることはできない (笑)ので、添付のプラ製ナイフで切って食べる。本来の味を保つため、ユーザーに切ってもらう方式と言うことらしい。そこまでのこだわりを見れば、高い評価も納得と言えよう。味だけではなく、添加物を全く使用していないシロモノにも関わらず、賞味期限が3日と大変に長く、土産にも使用できることも、評判のよい理由の1つ。しかも「ご飯が固くなりますので、冷蔵庫には入れないで下さい」とまで記してあるほどである。
米子駅のほか倉吉駅(倉吉には鳥取、米子の両社の駅弁がいくつかあるようだが、独自の駅弁業者はいない)、米子市内などのテナントのほか、東京の日本橋三越でも販売されている。賞味期限の長さを活かして通信販売も実施されているので、駅弁自体の値段は高いが、手軽にこの素朴な味わいを楽しむことができる1品。鯖が苦手な人には、「鯵」「鱒」「鯛」、そして「蟹」(季節限定)もある。
もっとも、ウチの父は「昔から米子駅の駅弁として販売されていてはなかったはず」と言い、唯一残念なことは「駅弁」マークがないこと。後一人旅の時にてこずることがあるので、できれば「食べきりサイズ」みたいなのがあるとよいのだが。ちなみに「米吾」は駅弁のほか各種の仕出し、駅前のホテル「米子ハーベストイン」も直営である。このホテルからは車庫を併設する米子駅の全景を俯瞰できることから、レールファンの人気の高いホテルの1つとなっている。
山陰本線:米子駅 「米屋 吾左衛門寿し 蟹」(米吾) ¥1,774 期間限定


商品の文字通り、「吾左衛門寿し」のカニバージョン。実は私としては「鯖」よりもこちらの「蟹」の方が圧倒的にオススメと言っておきたい。もちろん基本コンセプトは同じで、ナイフで切って食べる点も同様だが、昆布が薄いシースルーのようなシロモノで、この点が「鯖」と大きく異なる点。また「蟹」という高価な材料を使用しつつ、¥1,659と「鯖」よりも若干安いのもポイント。
こちらも賞味期限が3日あるので土産に向いており、家族もよくリクエストするのだが、「吾左衛門寿し」シリーズの中で唯一、10月〜5月までの販売と、季節の制約があるのが泣き所。
山陰本線:米子駅 「米子駅のかにちらし寿し」(米吾) ¥1,020

米子駅の「かに寿司」ということか。鳥取の八角形に対して、六角形なのが特徴。軽快なイメージの容器が特徴だが、そのイメージが逆に作用してしまわないかちょっと気になるところ。往時を知る人は残念ながら「昔販売されていたシロモノと比べて好めない。もっとも自分自身の味の感触が異なってしまったのかも知れないが・・」と嘆き節で、値段がほどほどに張る割に量も少なめということもあり、あまりオススメしない。米子で駅弁なら、前記の「吾左衛門寿し」や、名物の「大山おこわ」などを賞味してみよう。特に鳥取へ立ち寄る人ならば、かにの駅弁は鳥取まで待つことをオススメする。
山陰本線:米子駅 「大山おこわ弁当」(米吾) ¥840

「伯耆富士」とか「中国地方の霊峰」と通称される、標高1,709メートルの山が「大山」。夏は登山、冬はスキーで賑わい、中国地方随一の雪質を誇るだけに人気が高く、かつては九州からも多くのスキー客を集めた。その大山の名物の1つがこの「大山おこわ」で、「大山そば」共々スキー場のロッジで味わえることも多い。ちゃんとその由来の解説を記したスリップも添付されている。
中身は正統派のおこわで、もち米をクリ・ニンジン・椎茸で炊いた炊き込み御飯のみが詰められており、「容器のまま蒸して食べる」ことを推奨しているためか、漬物を別容器としているのが大きな特徴。安価でシンプル、文字通りの「土地の名物・名産」で、ボリュームもタップリ。あまり評判に上がることがないが、穴ともいえる名品。
大山へのアクセスは、大山口駅か米子駅からバスだが、スキー場へは車のほうが圧倒的に便利(但し、積雪と凍結に注意)。大山寺の周辺には「中の原・豪円山」、「上の原・大山国際」の4つのスキー場が隣り合わせになっており、傾斜の緩いファミリー向けゲレンデから、大会に使われるような滑降コースまで、様々なゲレンデを楽しめる。リフト券は共通で使えるが、厳密には前者の2スキー場が自治体の直営、後者は会社の所有物。この他、少し離れた場所に「桝水高原」「奥大山」、そしてシーズンが長い「鏡ヶ成」のスキー場もある。
山陰本線:米子駅 「牛べん」(米吾) ¥840

米子駅の肉を使用した駅弁。ご飯の上に牛肉をベタベタと載せ、フルーツと漬物を添えたシロモノ。大きな特徴として、アルミ製の鍋を使用していることがあり、またこの手の駅弁としては珍しくタレがあることが特徴。あまりよい肉を使用しているようには見えないが、その分この手の駅弁としては¥840と、かなり安価なのが嬉しいところ。
山陰本線:松江駅 「大和しじみのもぐり寿し」(一文字屋) ¥1,050

島根県の県庁所在地、松江市の人口は149,000人。「山陰の小京都」の称号は津和野に譲るものの、観光客の姿が絶えない。「堀川遊覧」など、最近ブレイクした観光資源も多く、松江市交通局のレトロバス、「ぐるっと松江レイクライン」は大評判で利用客が多い。
松江駅は鳥取、出雲市と並ぶ2面4線の高架駅で、比較的シンプルな構造。その松江駅の代表駅弁がこの「大和しじみのもぐり寿し」。松江で取れる食材の1つが、町の半円を囲むようにそびえる、日本屈指の汽水湖、宍道湖で取れる「しじみ」である。これにシラウオやウナギを使用し、ご飯の中にもしじみを入れることからこの名称となっている。
「地元の食材」にこだわる駅弁だけに高い評価・・と行きたいのだが、実際に食べた母親は「しじみが甘すぎて、とてもよい評価はつけられない」と苦い顔。私自身は食材自体が苦手なので、感想は控えさせていただきたい。
山陰本線:松江駅 「境港・水揚げ かにみそかに寿し」(一文字屋) ¥1,000 季節限定

松江駅の凝った名前のかに寿し。大きめに切ったカニが、酢飯の上にふんだんに載せられて、ちくわとかにみそで構成される、まさに「シンプル・イズ・ベスト」の駅弁。一応冬期限定のようだ。
松江は「水の都」と言われるが、その水は「日本海」ではなく「宍道湖」を指すことは繰り返さない。にも関わらず、なぜ「鳥取県境港市」に水揚げされる素材を松江駅弁が起用するかと言うと、実は境港の真上には、対岸の島根県美保関町へ架かる「境水道大橋」(JHの管理で、数年前に無料化された)がそびえており、美保関町の中心部から松江駅まではバスで40分くらいの距離ということから、意外と松江方面との結びつきも強いことからであろう。
山陰本線:出雲市駅 「出雲名産 かに寿し」(黒崎) ¥920

出雲市駅はかつて駅ウラにレンガ造りの機関庫があり、大社へ向かう大社線が発着する、フンイキのある由緒ある駅だった。大社線が廃止され、駅の再開発で2面4線のホームとして高架化され、往時のフンイキはない。但し「出雲大社の玄関」として、駅舎の入口には工夫がなされており、言わばフンイキと実用を兼ね備えた駅舎となっている。
「駅ウラ」の車庫が整理され、高架化でウラもオモテもなくなったら、今まで駅ウラに住んでいた人が、それまで徒歩で30分かかっていたのが、わずか5分で着くようになった・・という事実もある。そのため、最近では土地に余裕のある南側の開発ペースが著しいようだ。
出雲市駅の改札外の(立ち食いではない)そば屋「黒崎」が、出雲市駅の駅弁を手がける。出雲市駅の「かに寿し」は、ややご飯にべたつきを感じるシロモノで、城崎のものに味とか食感が似ているようだ。八角形の容器は珍しくないが、フタが一体化しているデザインが特徴。
山陰本線:出雲市駅 「出雲名物 手打そば弁当」(黒崎) ¥1,050 基本的には要予約

出雲の名物として名高いのが「出雲そば」。「かに寿し」とその「出雲そば」を、一緒に味わうことができるのが、このシロモノ。基本的には予約が必要なようだが、昼の時間などでは常備されていることもある。そばと寿司のほかに、一通りの「幕の内」の具もあり、オレンジなどの副食のバランスも良い。これで¥1,050は、充分お値打ちと言えるのではなかろうか。
山陰本線:出雲市駅 「名物 出雲そば弁当」(黒崎) ¥600 注文生産

出雲の名産と言えば、何と言っても「割子そば」を中心とした「出雲そば」だろう。それを「駅弁」として販売するのがこのシロモノ。そばだけ食べたければこちらで十分。
「出雲そば」はやはり使う材料が本格的なものなので、観光客を見込んでいる部分もあるのかほどほどの値段がする。そのため「黒崎」のそば店も本格的な店舗となっており、販売しているそばのメニューもほどほどの値段となっている。
元々「そばの駅弁」と言っても品質管理などに難があるため、基本的にはやはり「注文生産」で、私が注文した時は「5〜6分待っていただけますか」とのことだったので、15分ほどあれば何とかなりそう。言うならば「駅弁」と言うよりは「持ち帰り用のそば」というはんちゅうかも知れないが、まあ「駅弁」としておこう。なお、「そば弁当」の方はちゃんとしたハコで、「駅弁」マークもある。
当然そばの風味も感じられるし、コシもまずまず。珍しい存在の駅弁なので、途中下車してでも手に入れたい1品。なお、浜田、益田駅の駅弁屋が廃業した今、現在山陰本線については、出雲市以西の駅に駅弁はなくなったが、益田駅に別の業者の駅弁屋が納入を開始した模様。
山陰本線:出雲市駅 「出雲 うなぎ弁当」(黒崎) ¥920

出雲市駅のうなぎの駅弁。非常に時代を感じさせる掛け紙に、わっぱ風の容器にうなぎ飯がある。タレは付いていないが、少し横にしただけで吹きこぼれてしまうほど大量のタレがかかっているため、心配ない。うなぎはちゃんと身もしっかりしており、見たからによいウナギを使用していることがわかる。しかし、昼の時間に用意がなく、購入は注文生産で、どうしても欲しい人は予約が無難。