四国地方の駅弁
注:四国島内の特急列車(岡山発着含む)には、車内販売はありません。
予讃線:高松駅・松山駅 「アンパンマン弁当」(高松駅弁) ¥1,050


(参考) 旧製品

「アンパンマン」を題材にした駅弁が他にあるかどうかはともかく、「駅弁」の中ではかなり異彩を放つ弁当。中身は見ての通り「お子様ランチ」であるが、それを「駅弁」に取り入れる発想が面白い。
駅弁大会などでも人気を博したシロモノが、2005年の3月20日にリニューアル。外袋が付き、アンパンマンの人形らしきシロモノが付いて「子供が食べやすい量に」という声を受けて、若干具材を変更して量は少なくした。「べんとうばこ」の再利用をかなり意識しているようで、人形に見えるのは実は「水筒」としており、中には水が入っている。
全体的に見栄えがよくなり、弁当箱の再利用がしやすくなったので、購入後は幼稚園へ行くのにこれをぶら下げて・・という光景が思い浮かぶ。前作と違って大人でもだいぶ食べやすくなった感じがするようにはなったが、やはり基本的には子供向け。1つだけ残念なのは、前作の倍の、¥1,050取るようになったことだけ。しかしながら家族連れとかで駅弁を買うのなら子供にはぜひ買ってやりたい駅弁で、逆に言えば「子供にも買ってやれる駅弁」を販売している「高松駅弁」の姿勢は評価に値する。
四国島内では高知方面行の<南風><しまんと>を中心に、「アンパンマン列車」が縦横無尽に走る。これは作者のやなせたかしさんが高知県の出身という縁から生まれたもので、車両の塗り替えは子供に絶賛されて利用客も増えた。予讃線や高徳線にも進出した現在、やややりすぎという声もあるようだが、「四国=アンパンマン」というイメージも定着した。それが発着する「四国のターミナル」の駅には、そんな駅弁があってもよかろう。ただ、ミニサイズでもよかったので、1つでも「あんぱん」があればいいんだけど・・・。
基本的には高松駅の駅弁だが、松山駅のほか、高知、徳島駅でも購入できるようだ(筆者は松山駅で予約購入)。
予讃線:高松駅 「あなごめし」(高松駅弁) ¥920

山陽本線のいろいろな駅にはあなごを使った駅弁が点在するが、瀬戸内海を挟む四国側にもある。高松駅の「あなごめし」は駅弁大会などでも散見されるが、実際食べてみて宮島口にかなわないのはやむなしとしても、広島とかのシロモノと比べてもあんまり感心できなかったという感じか。決してまずくはないのだが、高松で駅弁と言うのなら他の駅弁の方がよいかも知れない。
予讃線:高松駅 「讃岐路牛めし」(高松駅弁) ¥870

箱には瀬戸大橋があしらわれ、高松の駅弁としてのイメージを醸し出させるが、あまり高松と牛のイメージがピンと来ないという方も多いだろう。一応「讃岐牛」というブランドは存在するようだが、それほど有名ではないのだが、下記の鶏と共に駅弁の素材として使うくらいなのだから、一定の評価はあるのだろう。
あまり多くの牛肉は使われていないが、ごはんもそれなりの量がありながら、¥870という価格がグッド。「あなご」かこっちか迷ったら、迷わず「牛めし」か「とりめし」をおすすめする。
予讃線:高松駅 「とりめし弁当」(高松駅弁) ¥880

高松の鶏を使った駅弁にはこの他にも釜飯もあり、下の「阿波地鶏」と比べて肉の弾力などは劣るものの、決して手を出して損はないと思う駅弁。高松駅弁の駅弁の大きな特徴は、薬味に「らっきょう」を使用していることで、口直しにちょうどよい。
香川県の駅弁販売は現在高松駅のみ。「高松駅弁」の駅弁はそれこそ子供から大人まで、老若男女に愛される趣向を凝らした駅弁を数多く販売していることは評価したい。しかしながら高松駅改札内のうどん屋の味は旧駅時代に「キヨスク」がやっていたうどん屋と比べると「月とスッポン」に等しく、あんたらも讃岐人ならば、味の見直しを強く求めておく(この件については下記記事を参照)。後、採用は困難かもしれないが、「うどん」を用いた駅弁が販売されると面白いのだが・・・。
番外編:高松駅の「連絡船うどん」

駅弁と「駅そば」にターゲットを置いている以上、「讃岐うどんの本場」に位置する駅のうどん屋を紹介しないわけにはいくまい。その昔高松駅には、改札口を入った左脇に、「四国キヨスク」経営の立ち食いうどんの店があり、やや独特の味付けが印象的だった。宇高連絡船が発着していた当時、ここのうどんは、本州に向かう人、そして四国に戻ってきた人に愛され、文字通り「これを食べるとやっと四国、讃岐」と、「四国の玄関」としての面目躍如を果たした。
瀬戸大橋開通後もうどん店は不動で、人気を保ったが、「サンポート高松」の再開発事業による駅舎の移転に伴い、仮駅舎から営業が「四国キヨスク」から「高松駅弁」に代わった。しかしうどんが好物の私でさえマズイと言わしめるシロモノで、「高松のうどんだから」と信じて何度か食べたものの、ついぞやいい味は味わえず、めっきり寄らなくなった。
昨今の「讃岐うどんブーム」の中で、そういう声が高まったのか、「高松駅弁」もようやく気付いたようで、昨年うどん店の看板を架け替え、「連絡船うどん」としてリニューアルさせた。そう、宇高連絡船の屋上デッキのスタンドで経営していた、あの立ち食いうどんの味を・・と提供しだしたのである。
私は残念ながら連絡船のうどんは食べていないので当時の味は知ることはできないが、装いを改めてからは「私でも食べる」程度のうどんにはなった。もちろん「山奥の讃岐うどん」と比べるとまだまだで、これよりうまいうどんは県内にはゴマンヒャクマンとあるが、それと「駅うどん」を比べるのはかわいそう。いずれにしてもコンセプトが当たり、味もまずまずのモノになったので、一杯食べて損はない。
なお、同じJR四国の系列会社が出店している「めりけんや」はほどほどにうまく、日本レストランエンタプライズとJR東日本、そしてJR四国が手を組んで首都圏に出店している「さぬきうどん職人」は、立ち寄って価値あり。最近はトルコにも進出したそうだが、麺の質の均一性を図るため、麺は全て宇多津の工場から空輸しているのが特徴。
なお言い忘れたが、坂出駅ホームの「××はし」、これに手を出すことだけは絶対にオススメしない。
予讃線:川之江駅 「いなり寿し」(太平食堂) ¥530
※画像提供:Deguchiさん

四国では列車の運転時間や所要時間が限られることから、駅弁の環境にも厳しいものがあり、公式の駅弁販売駅は高松、今治、松山、宇和島、高知、そしてここ川之江のみ(他に国鉄時代から土佐くろしお鉄道中村駅で、徳島県にも下記の駅弁あり)。川之江には全ての特急が停車するが、人口は95,000人と広島県三原市と同じくらいだが、製紙産業が盛んで、その売上額は富士市に次いで2番目。
お世辞にも恵まれているとはいえない比較的小駅、川之江駅で頑張っているのがこの「太平食堂」。ユニークな駅弁や幕の内もあるようだが、ポピュラーなのがこの「いなり寿し」。この手の駅弁はどこともシンプルで値段も手ごろだろうが、逆に言うと個性を出しにくい部分がある。しかし、人気のない駅弁は今の世の中ならとっくに淘汰されているはずで、こうやって長年販売が続いていることを考えると、一定の評価を得ている証拠と言えよう。なお、掛け紙にはちゃんと「駅弁マーク」がある。
なお、四国中央市の人口は三原市なみの95,000人と書いたが、これも実は2004年4月からの話で、伊予三島市と土居町、新宮村と合併した上での数字。製紙工場も伊予三島にある。「四国中央市」とは大げさな名称で地元住民の違和感も強かったようだが、合併によって香川県、高知県、徳島県と接するようになること、市内に高速道路のインターが3つあり、各県庁所在地へ60〜90分で行けるようになることから命名した経緯がある。
予讃線:今治駅 「来島名産 鯛めし弁当」(二葉) ¥740

今治駅の代表駅弁と言えようか、大きな駅弁大会でも見かけるようだ。見てのとおりの「直球勝負」で、タイの炊き込み御飯にエビの天ぷら、カニカマ、れんこん、卵焼きとカマボコに漬物。もちろんご飯には骨などなく食べやすいように調整されており、食感もバッチシ。量がやや少ないように見えるが、¥950と¥1,160の商品もあり、折尾駅の「かしわめし」のように選ぶことが出来るようだ。掛け紙のデザインも豪快かつ綺麗で、その上で「駅弁らしい素朴さ」が刷り込まれていることも、ポイントの1つ。
「来島」とはもちろん「来島海峡」の来島。今治駅の1駅手前、波止浜駅付近から見える、「瀬戸内しまなみ海道」の今治方の入口に架かる3連の吊り橋、「来島海峡大橋」がすっかり有名。伊予北条駅の前後では、瀬戸内海が車窓から見れるので、美しい瀬戸内海を見ながら食べると、フンイキが合うだろう。
予讃線:今治駅 「瀬戸の押寿司」(二葉) ¥1,160
画像提供:Deguchiさん

今治駅の「名物駅弁」となるとこちらか。これまた中身はシンプルで、寿司めしの上にタイの身を乗せ、木箱で押し付けて押し寿司としているのが特徴。
さすがに今治駅の商品の中では値が張るが、パッケージ・木箱・そして見た目も美しく、食欲をそそる。もちろん見た目だけでなく、食された本人も「寿司の駅弁にありがちな、強い酢も感じられない」というほどで、かなり良い出来に仕上がっていると言えよう。
またこの商品にはもう1つ大きな特徴があり、この商品は賞味期限が2日間あるため、一部地域は通信販売もOK、とのこと。
予讃線:今治駅 「あなごめし」(二葉) ¥840

今治駅のあなごめし。これまた「シンプル・イズ・ベスト」と言えようか、錦糸卵をまぶしたアナゴを、タレを混ぜ合わせたご飯が受け止める。見たから以上にコンパクトな箱が意外だが、ボリュームはまずまず。宮島口のと違って、アナゴを柔らかめに調理しているのが特徴で、そのぶん歯ごたえ感は劣るが、口に入れる前からすばらしい風味が伝わってくる。
そしてそれだけていねいに調整し、なおかつうまいシロモノに仕上がっている割に、¥840という安さが大変嬉しい。残念なのはじぶんでかけるタレがないことと、掛け紙がないことだけ。「マジ?」と思うかも知れないが、パッケージは本当にこれだけ。
今治駅にはシンプルながら、実力派の駅弁が並ぶが、松山と違って弱いのが、特急が「始発」でなく、車内販売も中止された現状では、わざわざ降りて買わねばならないところ。しかし、その弱点への対応は早く、四国ではいち早く「デッキ渡し」を取り入れている。電話で予約して、「<しおかぜ×号>の×号車の前側のデッキへ」などとお願いすれば、店員さんが特急列車のドア前まで持ってきてくれる。売店の営業は19時30分までだが、19時22分の<しおかぜ30号>への積み込みも受けてもらえた。
但し、停車時間が短いため、釣り銭のいらないよう配慮することと、数日前に予約した時は当日にもう1度、「予定通りの列車に乗ります」と言ったような、確認の電話を行なうなどして、「頼んだ商品の受け渡しができなかった」ようなことがないようにしたいもの。もっとも、この不文律は何も今治に限ったことではなく、「デッキ渡し」を受けて下さる各駅でも同様であるが。
予讃線:松山駅 「醤油めし」(鈴木弁当店) ¥740
資料協力:Deguchiさん(撮影写真・掛け紙は当方所有)

松山駅の代表駅弁。四国の駅弁の中では高知駅の「かつおたたき弁当」(下に紹介あり)と並んで、評価の高い駅弁。素朴な掛け紙には、「伊予弁」が相撲の番付方式で記され、勉強になる。「醤油」と言う名で「調味料」の名称の出る駅弁は珍しく、辛そうなイメージにさせられるが、中身は至って素朴な炊き込み御飯。錦糸卵と鶏肉、山菜、タケノコなどで構成する内容。
特に飾り気のある駅弁ではないが、その分「当たり外れ」もなく、手堅く手を出せる駅弁の1つ。手間はかかっていると思うが、あまり高い材料を使っていないせいか、¥740と安価なのも、手を出しやすく人気を維持する理由の1つだろう。
予讃線:松山駅 「マドンナ弁当」(鈴木弁当店) ¥1,050


四国最大の都市、松山の名物はなんと言っても「道後温泉」と小説「坊ちゃん」。その松山で代々伝わる、とっておきの料理を、「坊ちゃん」に出てくるハイカラ美人「マドンナ」の好むように・・というコンセプトで作られたようだ。コンセプトは面白く、袋や掛け紙のデザイン・美しさが購入意欲をそそるが、最初は駅弁大会とかでしか販売していなかった・・という話も聞いた事がある(現在は最低でも予約すれば購入可能)。
しかしながら中身は、ご飯が酢飯ながらも、「幕の内の豪華版」くらいの印象しかない。強いてポイントを上げるなら、愛媛の駅弁らしくオレンジが入っていることだが、松山駅にはこれよりも安くて購入意欲をそそる駅弁がそれなりに揃っているので、ムリにこれに手を出す必要はない、と感じさせる一品。パッケージを楽しみにする人にはうってつけだが・・・。
松山駅では改札口を入ったところのワゴンで販売が行なわれている。品揃えはさすがに高松と並んで買いやすい環境であるが、松山から東京や大阪なら飛行機の方が便利なため、松山で<しおかぜ>の自由席に乗る人の半分くらいが今治で降りてしまうのは泣き所。
「今治で降りてしまう」・・これには理由が2つあり、1つは、松山〜今治の相互需要がそこそこにあること、もう1つは、鉄道で言うなら予讃線に相当する国道11号線が、松山から「桜三里」という峠道でショートカットして、一気に伊予小松の付近に出てしまうため。モチロン今治への国道もあるが、確実に特急の方が速いからだろう。但し、この「桜三里」という道は「魔の道路」と言われ、筆者自身も実際に坊ちゃんスタジアムへ向かう際に通ってみて、それも頷けるほど気合が必要な道(狭いことはない)だった。
予讃線:宇和島駅 「えきべん」(おむすび屋 片山) ¥680

予讃線の終点、宇和島駅で唯一「駅弁」と言えるシロモノ。宇和島駅ではその昔、「ときわ食堂」というところが「闘牛の町」にふさわしく、「斗牛弁当」という名物駅弁を販売していたのだが、BSEの影響などもあっていつしか消え、その「ときわ食堂」が店の屋号を改めて、引き続き販売されている幕の内弁当。
中身は見てのとおりの「幕の内」で、宇和島の色が少ないのは残念なところだが、そこは掛け紙でカバーというところか。店の屋号が変わっても掛け紙のデザインはほとんど変わっておらず、情報筋によると、24年前と比べて¥80しか値段が変わっていないらしい。なお、大昔は八幡浜でも販売していた模様。
瀬戸大橋開通後、5往復走っていた岡山行特急<しおかぜ>は、松山電化の余波を受けて2往復に減少。松山行<宇和海>で本数は増えたものの、車内販売の乗る列車が減った(現在はなし)こともあってか、駅弁の販売環境が悪くなったことも、こうなった原因の1つかも知れない。<宇和海>は確かに便利ではあるものの、ビジネスタイムを外れた列車はやはり利用率がよくないようだ。
1つ気付いたのは、宇和島を本拠とするバス会社、宇和島自動車は、県境を越える宿毛へ1時間に1本程度、城辺からは松山直通便を、宇和島〜松山の特急バスなども手がけ、市内でも頻繁にその姿を見かけた。ローカルバスが全国的に厳しさを増す中で、これだけ活気のよいバスも久々に見た感じがし、<宇和海>がガラガラだったのと全く無関係・・と言い切れないのかな?
土讃線:高知駅 「かつおたたき弁当」(安藤商店) ¥1,050


南国・高知の名物料理は何といっても「皿鉢料理」。土佐の国で獲れる海の幸、山の幸をどっさり1枚の大皿に載せ、中華料理のように多人数でつついて食べる料理。その中でもよく出されるのがこの「カツオのたたき」。
カツオは江戸時代は高値でぜいたくな食べ物とされ、「土佐の国で生ものを食べてはならん」というお触書きが出たらしい。しかしどうしても生のカツオを食べたい土佐の人たちは、目をごまかすべく表面だけ焼いて食べだしたら、これがめっちゃうまく、定着していったとのこと。
焼く前に塩を振って、味がしみるようにと包丁や手でたたく・・、それが「かつおたたき」として、高知の名物料理になった、とのこと。駅弁の方だが、ご飯と簡単な付け合せの右側は、ごらんのとおりのカツオのたたきと、ネギやキュウリ、ニラをまぶしたもの。ツユとワサビもたっぷり用意されており、ケチることもない。
しかしながらこの手の「駅弁」に異議を唱える方も多いかと思う。「カツオのたたき」は文字通り「生ものの刺身」。このような食材は痛みやすく、特に衛生管理に気を使う駅弁業者が特に敬遠する食材の1つであり、「カツオのたたき、刺身」を駅弁にするのは全国的にみてもこれ1つだけ。
しかし、出す方も「ええ加減」な出し方は決してしていない。よく見ればわかるが、この部分は別の透明パッケージに入れられており、駅で販売する際は、この部分だけ保冷ボックスに入れておき、販売する時に箱に入れるシステム。そしてこの透明パッケージの中には何と「保冷剤」が数個入れられているので、若干タイミングがずれてもいいように配慮してある。
それだけ調整に気を使い、具のボリュームもタップリでありながら、価格は¥1,050と、意外に手ごろ。肝心の食感のほうだが、パッケージを開けた瞬間に、カツオの香ばしい匂いが漂い、焼いたカツオの皮も、身の歯ごたえも最高で、全く文句なしの仕上がり。
市中の料理屋へ出向くのがもったいないのではないか?と思わせたほどパフォーマンス力が強い。今までカツオだ刺身をそのものをほとんど食べたことがなかった私がそうとまで言うほどなのだから、カツオが好物の人なら病み付きになること間違いなしと断言できるほど、文句ナシの「Vサイン」。文字通り「こじゃんとうまい」駅弁。
この駅弁は以前から高知駅で販売されていたが、2003年1月に業者が、突然「中央食堂」から現在の「安藤商店」(「仕出しのあんどう」)に代わったとのこと。但し、パッケージは代わったものの、基本的なコンセプトはそのまま引き継いでいるようだ。
時間帯を外さなければ、高知駅では比較的買いやすいようだが、商品の性格上、「駅弁大会」などに出品されることはありえず、希少価値の高い駅弁の1つ。また、パッケージを入れる都合上、「特急列車が高知駅で停車中に購入・・」というのであれば、予約の際に申し付けて、「すぐに渡せるように」とリクエストするのが肝要。
なお、「駅弁大会に出ることはありえない」とは書いたが、保冷剤のせいか、8時30分に買った商品の賞味期限は「23時」とあり、下の「うなぎめし」の22時よりも長かったのが唯一引っかかるところ。しかしながら、夏はもとより、中身が中身なので、時期に問わず、買ったらできるだけ早く食べることを強くオススメする。
土讃線:高知駅 「よさこい弁当」(安藤商店) ¥1,050

高知駅の幕の内弁当。高知名物の「よさこい踊り」にちなんで命名され、掛け紙がかわいらしい。中身は特に気をあしらわないが、3種の神器は守りつつ、煮干しが入れられているのがポイント。また「幕の内」にしては珍しく、横長・縦長ではなく、コンパクトな正方形の2段重ねに仕立てているのが、形状面での特徴。
買って損はないが、価格が¥1,050と、上の「かつおたたき弁当」と同額のため、前者の出来があまりにも素晴らしいため、手を出すタイミングが難しい一品とも言えるような気がする。
土讃線:高知駅 「うなぎめし」(安藤商店) ¥840

最近では全国的に少なくなってきた、ウナギを使用した駅弁が、高知駅では通年購入できる。タレもタップリあるし、これ自体はおいしく食べられるのだが、肝心のウナギがやや固いのが泣き所。値段は手ごろだが、ウナギも2切れなので、まあこんなもの、と割り切って買えば損はなかろう。
阿波池田で駅弁の販売がなくなった現在、土讃線の駅で駅弁が買えるのは、この高知駅だけ。また、高知県内で公認の駅弁が購入できるのも、やはりここ高知駅だけ(中村駅には幕の内がある)。現在高知駅では高架化工事が始まっているが、現在の駅は2面3線の小ぢんまりとした駅で、駅構内は非電化(駅前に路面電車があるが)。「県都のJR駅」としては、山口や津、徳島と並んで、ランク付けが高くない代名詞の1つとなっている感がある。しかし、人口は松山市についで多く、街は元気で、「桂浜」も有名。
なお高知県はプロ野球のキャンプや「米の2期作」、野菜の促成栽培がよく行なわれることもあって、「年中暖かい」イメージがあるが、それは「高知平野」に降りた土佐山田以西付近のことで、それでもやはり冬は寒い。土佐山田から県境にかけては四国山地を一気に駆け上がるが、この付近は早朝の特急の暖房が効きづらいほど寒く、雪を見ることも珍しくないので、よく考えた格好で赴こう。
土佐くろしお鉄道・中村・宿毛線:中村駅 「幕の内」(大八) ¥630

第3セクターで運営される「土佐くろしお鉄道」の中村駅で販売される駅弁。かつては国鉄の路線で、その時代から駅弁が販売されていたので、その名残りとも言えるだろう(但し国鉄時代はキヨスクが手かげていた模様)。大きな特徴はないが、丹念に仕上げられてどれをつついても味そのものはよく、価格も手ごろなので、「くろ鉄」を応援する意味でも買ってみたい駅弁。掛け紙のデザインはもちろん、「日本最後の清流」四万十川とトンボ。
中村駅は長年終着駅で駅舎も大きく、「くろ鉄」の本社や車庫もここにある。若い社員を中心に駅員の数も多く、売店・喫茶店などもあり、広い待合室でも、かなりの客が列車を待っている光景が見られる。「マイレール意識」に加えて、岡山行<南風>を筆頭に高松行<しまんと>、高知行<あしずり>(現在は高知から片道1本だけ)の特急が走り、特急車両もわずかながら保有する。転換後は念願だった宿毛への延長開業を果たし、後免から計画されていた「阿佐西線」を「ごめん・なはり線」として開業させたのも「くろ鉄」である。
しかしながら「ごめん・なはり線」が単年度で黒字を出す一方で、本家の「中村・宿毛線」はやや苦戦気味だったところへ、ここ5年間で2度の列車衝突事故を起こすなど、会社の存在が問われかねない事態に陥っている。特に2005年に特急列車が減速しきれずに宿毛駅の車止を突っ切って駅舎に突っ込んで車両・駅舎共々大破させた事故では運転士が亡くなるなど、衝撃の大きさを見せつけた。高知県の主導で近畿日本鉄道から社長を送り込んでもらい、「新生くろ鉄」へ向けてとりあえず進み出し、2005年6月現在では、東宿毛まで列車の運転が再開され、すでに宿毛駅の線路設備は使用可能な状態で、折り返しには使用している。
ちなみに、現在の中村駅の所在地は「四万十市」。もちろんこの付近においてはなくてはならない観光資源であるが、意外な話、特急<しまんと>が「四万十川の本流」を渡るようになったのは、線路が宿毛へ伸びてから、という事実はあまり語られることがなかったりする。
高徳線:徳島駅 「阿波地鶏弁当」(ヨシダ) ¥800

JRが走っていない沖縄県を除くと、徳島県は全国で唯一、時刻表での公式の駅弁駅が紹介されていない。沖縄のモノレール、壺川駅に一応駅弁として販売されるものが誕生したため、一時期日本で唯一「徳島県のみ駅弁がない」状態となっていた。徳島駅や阿波池田駅などではJR化後も駅弁が販売されていたが、徳島から高松までは1時間程度で着いてしまう上、京阪神方面の客を明石大橋経由の高速バスに奪われては、四国でも有数の大駅ビルに変貌しても、駅弁販売は厳しかろう。
しかし、それでも特急に乗る人を中心に駅弁を求める人はいるわけで、百貨店の駅弁大会でも「全国の駅弁を何とか・・」という声にも押されたのか、新たな業者が駅弁の販売を開始した(販売はキヨスク委託)。その名は「阿波地鶏弁当」といい、中身に大きな特徴はないものの、逆に言えば「シンプル・イズ・ベスト」の直球勝負だから、阿波地鶏のうまみがふんだんに出る。肉の弾力も非常に強く、京王百貨店での駅弁大会での好評も当然と思うほどの美味であった。
駅弁そのものの体裁は、仕出しや給食の業者のイメージが強い会社が、そのノウハウで「無理やり駅弁にしてみました」という感じも強く、容器もプラ製で掛け紙もパソコンで製作したと思われるシロモノだが、徳島県の貴重な駅弁として、今後の発展を期待したいと思う。しかし、現状はやはり厳しいようで、当初販売していた阿南・阿波池田駅での販売は休止となり、現在は徳島駅のみ。